それこそ、自分の中にある情熱を殺してしまいかねない。人を好きになっても、以前ほど夢中になれないのは、恋愛力がついてきた証拠である。なぜ、飽きがきている関係でも、いざ別れようと思うと惜しくなってしまうのか二人のあいだに危機が訪れると、より強く相手を求めるようになるかつて私の教え子が、唐突に「先生、私、大学を辞めて故郷に帰りたいんです」と言い出したことがある。あまりに突然のことなので私もびっくりし、わけを問いただしたところ、同じ郷里の恋人の父親が病に倒れ、店を継ぐために大学を辞めて故郷に帰らなければならなくなったというのだ。最近は、二人の関係にマンネリを感じていたが、急に彼と離ればなれになってしまうと知った瞬間に、もういてもたってもいられずに、自分も大学を辞めて、彼といっしょに故郷に帰ろうと決心したらしい。長くつき合っていると、恋のはじめのころのような気持ちの盛りあがりがだんだんおさまって、愛へと変わっていく。一瞬にして燃えあがる恋の炎とはちがって、愛は弱火で静かに燃えるトロ火のようなものだ。だから、何もしないでそのまま放っておくと消えてしまうこともある。愛にも、ときどき恋のエネルギーのような油を注ぎ込んで、炎を燃え上がらせてやることが必要なのである。彼女の場合は、彼の突然の帰郷というのが油となったのである。この例にもれず、どうしたら、二人の危機を乗り越えられるかつづけてきた二人の関係に、あるとき突然大きな危機が訪れる。卒業や転勤、転職など、大きく環境が変化する出来事である。こうした危機は、[SEO_Link num=”1″]で知り合ったならむしろチャンスと考えたほうがいい。二人にとっての危機は、二人のあいだの距離を縮め、改めてお互いを見つめ直す働きもするのだ。逆にいえば、こうした危機を演出することによって、二人の関係のマンネリを打破できるということになる。デートを重ねていても、なんとなくいつも同じことのくり返しのようでつまらなくなっできたら、デートの回数を減らす、意識的にしばらく会わないようにしてみるといったことも、ひとつの手なのだ。私の知人など、しばらく二人の関係を見つめ直すために、留学したという人もいる。そうして距離をおいて離れてみると、また、相手の新しい面を発見することもできる。危機が大きければ大きいほどほれ直す。ということでもある。つまり、人間はひとりの人に何度も恋ができるものなのだ。