その点、過去の恋人との思い出の写真などをいっさい捨ててしまうなどというのは考えものだ。捨てることによって美化作用がいっそう働き、こだわりが強くなる恐れもある。むしろ、無理に忘れようとせず、過去の彼女の思い出に一度ひたりきったほうが、かえって忘れやすいくらいだ。あるいは、まず行動を起こしてみることだ。たとえば、身近にいる女性とデートしてみる。恋愛感情抜きで、デートを楽しむだけでもいい。人聞は行動の動物だから、新しい行動に移ると、過去へのこだわりもしだいに薄れていくはずだ。ふられて落ち込んでいるときこそ、別の女性とデートをしてみる。別れた相手を無理に忘れようとするより、思い出にひたったほうが、逆に忘れやすい。なぜ、昔別れた女性は、また結ばれやすいのか?お互いによく知っている仲ほど、新しい魅力を相手に見出したとき、恋愛感情が高まりやすい。「焼け木杭に火がつく」といっても、若い人にはなじみのない言葉かもしれないが、一度別れた男女がよりを戻し、もとの関係にもどることをいう。たとえば、三年まえにケンカ別れをした恋人にバッタリ会い、「ちょっとお茶でも」がきっかけで、ふたたび恋人同士のつきあいを始めるのは、焼け木杭に火がついた状態だ。恋の再燃が昔から多かったからこそ、こうした表現も生まれたのだろう。一度は恋人関係にあった男女が別れるときというのは、けっしてきれいごとではすまない。よくテレビで、芸能人のカップルが「お互いに納得して別れることにしました」などと、ニコニコして記者会見をしたりしているが、お互いに飽きがきていたならともかく、現実にはそうはうまくいかないことが多い。相手の顔も見たくないと、憎しみあって別れるケースもあるはずだ。にもかかわらず、しばらく時間がたってから再会したとき、消えたはずの恋の炎が再燃しやすいのは、なんといっても、やはりよく知り合った仲だからである。まったくの他人よりは、話もしやすいし、共通の思い出もある。どうしたら、二人の危機を乗り越えられるか加えて、何年か会わないうちに、お互いに人間的に成長していて、ひよわそうな青年が自信をもった大人の男性になっていたり、やぼったい小娘が洗練された女性に変身していたら、自分の知らないあいだに相手はどんな経験を経てきたのかと想像力を刺激され、それが強い魅力と感じられることもある。こうした心理的背景があるからね。